Vivaldi の創業当初から、私はずっと 2 つのことを意識してきました。ひとつは自分達が開発する製品で社会にポジティブなインパクトをもたらしたいという熱意、もうひとつはユーザーに寄り添った機能を提供し、コミュニケーションしたいという思いです。
これらの思いは確実に Vivaldi のブラウザと活動に反映してきたと思っています。日々変化し、競争の激しい業界で、多くの逆境にもめげずに目標に向かって前進し、チーム一丸となって達成できたことを誇りに思っています。
2024 年を迎えた今、昨年を振り返りながら、Vivaldi の今後に向けた意気込みについて語りたいと思います。
遂に iOS 版リリース! デスクトップや Android も進化してます
2023 年最大のハイライトは iOS 版 Vivaldi でした。開発に時間がかかり、大変お待たせしてしまいました。ですが、リリースした製品がとても好評で嬉しく思っています。今後さらに磨き上げていくことをお約束します。
iOS 版だけでなく、多くのデバイスに多彩な新機能をリリースできました。まずは、デスクトップ版で人気の高い機能を見ていきましょう。
ウィンドウパネルが、複数のウィンドウで開いているタブ全てを管理できるように進化しました。また、テーマ設定に新たにカスタムアイコン機能が加わり、ブラウザの外観をこれまで以上に自分好みに変えられるようになりました。新機能のワークスペースでタブをカテゴリ別に分けて整理したり、ルールを設定して自動的に振り分けたりすることも可能になりました。
Portal Windows を採用することで、メモリの使用量を削減してウィンドウが素早く開けるようになり、パフォーマンスが全体的に改善しました。
その他にも多くの改善を加えました。タブやタブスタック内のテキストを簡単にリンクとして共有したり、アドレス欄のドロップダウンで表示される検索候補カテゴリの優先順位を好きなように設定できたりします。
最近サイドバーに導入したセッションパネル機能では、保存したセッションの表示、再開、編集ができます。さらには、デバイス間で同期したタブを、現在使用しているデバイスのアドレス欄やウィンドウパネルから開けるようにもなりました。
Vivaldi 内蔵のユニークなメール、カレンダー、フィード機能がさらに進化しました。メールフィルターに新しいオプションが加わり、フィード機能はより便利になり、カレンダーのテンプレート機能で予定の管理がより簡単に行えるようになりました。
また、一部の自動車を含む、あらゆるデバイスで完全なブラウジング履歴が利用できるように Vivaldi のエンド・ツー・エンド暗号化を改善しました。
Android 版 Vivaldi ではユーザーのニーズに応え、タブをたくさん開いていても素早く起動できるようになった他、ブックマークやトラッカー・広告ブロッカーなどの機能改善が加えられ、新しい音声・動画のオプションにより、Vivaldi がバックグラウンドで実行中でも音声再生が可能になりました。
自動車業界への参入
自動車業界に長らく欠けていたもの、それは、停車中に利用できる、完全に機能するウェブブラウザでした。2021 年の 12 月、Vivaldi が Android Automotive が組み込まれた自動車で利用できる初のブラウザとなったことで、この問題は無事解決しました!
そして、2023 年は、熱意と才能に溢れた Vivaldi のチームメンバーのおかげで素晴らしいニュースがめじろ押しでした。フォルクスワーゲン・グループとメルセデスベンツ、そしてルノーと契約し、これらのメーカーの最新車で Vivaldi が利用できるようになりました。
また、Google Play ストアからもダウンロードできるようになったため、Volvo 車での利用も可能です。スウェーデンでは、1,000 車のうち 1 車で Vivaldi がインストールされており、この数は今後も増加するとワクワクしています。
やっと会えた!
Vivaldi は、ユーザーにオンラインを楽しんでもらうためのツールを開発しています。昨年は、Vivaldi のクラシックアーケードゲーム第二弾、Vivaldia 2 をリリースしたことに加えて、マストドンのインスタンスである Vivaldi Social の 1 周年を祝いました。
オンラインだけではありません。2023 年は、あちこちを飛び回りました。ラスベガスでの CES(コンシューマーエレクトロニクスショー)を皮切りに(因みに今年も参加予定です!)、バルセロナの Mobile World Congress(モバイル世界会議)、ブリュッセルの Tech.eu、リスボンの Web Summit(ウェブサミット)などに参加し、素晴らしい時を過ごすことができました。これらのイベントではいつも Vivaldi について楽しく語らせてもらっています。また、使用する製品に対するユーザーの関心が高いことをじかに感じることができる良い機会でもあります。
2023 年 5 月の日本への旅も忘れられません。日本は、製品への要求が高い、いわゆる、お目が高いユーザーが多い場所です。東京でユーザー・ミートアップを開催した際には、多くのユーザーが日本各地から参加し、Vivaldi について熱心に語ってくれました。そのエネルギーと熱意に直接触れられて、とても感激しました。
人々のもつ不思議な力
Vivaldi は社会のあらゆる側面、それは人々だけでなくソフトウェアにおいても多様性と一体性を目指しています。ユーザーは好きなソフトウェアとサービスを自由に利用できるべきだと考えています。そして、もちろん、Vivaldi のプロダクトとサービスを選択してもらえれば嬉しいです!
Vivaldi のチームは現在 54 人で、その出身国は 22 に渡ります。Vivaldi では、すべてのメンバーがオープンで安全、そしてインクルーシブな環境を創り出すべく責任を負っています。
私たちは多様性を活かして、生産性を高めています。創造性を奨励し、みんなのアイデアや視点を聞いて考えています。毎年、アメリカのマグノリアとアイスランドのレイキャビクで行うセッションが、チームの一体感を高めるのに役立っています。
より深いつながりを築く
信頼でき、ずっと続くコミュニティの一員でありたいという思いは多くの人が持っているのではないでしょうか。Vivaldi コミュニティ はそれを象徴する良い例です。
私にとって「Vivaldi のチーム」には、ユーザーのみなさんも含まれています。Vivaldi を信頼し、製品のためにたくさんのサポートをしてくださいました。現在、vivaldi.net のコミュニティのメンバーは 150 万人に達しています。Vivaldi は、ソプラノ(Vivaldi のサポート活動をするユーザー)やトランスレーター、ボランティアなど、さまざまな人々に支えられています。そして、39 ヶ国に 120 の Vivaldi アンバサダーが存在しています。
Vivaldi に貢献してくださっている皆さんに感謝します! 皆さんが Vivaldi を信頼し、サポートしてくださる限り、Vivaldi はさらなる高みを目指すことができます。
2024 年:たくさんのアップデート、より多くの自動車へのインストール、デジタル市場法(DMA)への期待
Vivaldi は、あらゆるデバイスで多くの新機能を提供することを目標としており、今後も、Windows、Mac、Linux に対応するデスクトップ版、そして、Android と iOS に対応するモバイル版で改善を続けていく予定です。
また、Vivaldi がさらに多くの自動車で利用されるようになることを楽しみにしています。これまでにも多数の発表がありましたが、まだ未発表の情報も多くあります。
前途には、より良いインターネットを目指すためのさらなる挑戦が待ち受けています。世界には、環境や地政学的な問題、テクノロジーなどにおいて、多くの不確実性なものが存在しています。しかし、2024 年は様々な変化に向けた出発点であり、それには規制が伴うと考えています。
欧州デジタル市場法 (DMA) の制定、それによる規制が行われたことは喜ばしいことです。既に USB 規格の統一化により iPhone が搭載端子を変更する予定ですが、以下のように今後予測されることが多くあります:
- Windows で Edge ブラウザをアンインストールできない問題。25 年間を要して遂に解消
- FUD(fear, uncertainty, doubt – 不安、疑念、不審)無しにデフォルトのブラウザを簡単にインストール、設定
- 検索エンジンの選択画面をあらゆるデバイスで表示
- Webkit の代わりとなる iOS での独自のブラウザコア
今後もインターネットを大きく変えてくれる可能性があると、欧州デジタル市場法には大いに期待しています。
また、Fediverse の大きな飛躍に関しても、とても嬉しく思っています。そして、Vivaldi が Mastodon インスタンスを立ち上げた最初のブラウザ会社となったことも誇りに思っています。しかし、これは Vivaldi だけでなく、Fediverse 全体にとっても、単なる始まりにすぎません。
新しい始まりに乾杯!
2024 年が、皆さん、そしてご家族、友人にとって素晴らしい年となりますように。新たな活力と熱意を持って、待ち受ける未来にチャレンジしていきましょう。
今年もどうぞよろしくお願いします!
以下の動画から、Vivaldi の 2023 年を振り返ることができます: