「#Vivaldiを使うワケ」では、Vivaldiの事例記事として、Vivaldiを愛用するユーザーに取材をさせていただき、Vivaldiへのこだわりや活用法などをご紹介します。第2回としてお話を伺ったのは古参インターネットユーザーのてらじさん。20年以上前から趣味でネットでの情報発信を行っています。
てらじさんは、「ブログ」という言葉が登場する前、1999年くらいからホームページを作って情報発信を行っていました。掲示板のCGIを改造して、ホームページの1記事ごとにコメントを付けられるようにして、コミュニティとして活用していたのです。はてなのブログサービス「はてなダイアリー」でさえ、2003年リリースなので、ブロガーの先駆けのひとりと言っていいでしょう。
てらじさんは、インターネットが大好きで、新しいサービスが始まると、とりあえず飛びついていたそうです。例えば、「PeerCast(ピアキャスト)」です。今から19年くらい前に登場した、ネットラジオを放送できるシステムの走りです。今で言う、「ライバー」のようなものです。
2000年ごろは第一次ブラウザ戦争が終結し、「Internet Explorer(IE)」が多くのシェアを獲得していた時代です。当時はてらじさんもIE 4やIE 5を使っていたそうです。はじめてのタブブラウザは「Dona Web Browser」で、2001年からは日本語に対応した「Opera 6ベータ」を使い始めました。
「2013年にOperaが独自のレンダリングエンジンを捨てることになって、バージョンが12から15になりました。時代の趨勢からいっって、独自エンジンを続けるのはしんどいだろうなとは思っていたのですが、Opera 15でできないことがあまりにも多く、そこで心が折れてしまったユーザーは多かったと思います」(てらじさん)
翌年には、Operaユーザーが交流する場でもあった「My Opera コミュニティ」が閉鎖されました。
「蓄積していた情報がなくなってしまったので、だいぶ衝撃を受けました。しかし、テッちゃん(Vivaldiのヨン・スティーブンソン・フォン・テッツナーCEOのこと)がMy Operaの代わりにVivaldi.netを立ち上げました。そしてある日、Vivaldiブラウザを開発すると言うじゃないですか。当時のキャッチコピー「友だちのためのブラウザ」を恥ずかしげもなく出せるところが、テッちゃんなんだなと感動しました」(てらじさん)
そして2015年に登場したVivaldiのベータ版に触れ、多くの機能を搭載していることにまたも感動し、熱く盛り上がったそうです。もちろん、てらじさんは今もVivaldiを愛用しています。
Vivaldiのお気に入り機能はいくつかあるそうで、最初に上げてくれたのが「ウェブパネル」です。Twitterや気象庁、ウィキペディアのウェブページを登録し、手軽にアクセスできるようにしています。
てらじさんが使うVivaldiの画面全体も見せてもらいました。
タブは画面右側に縦に並べて表示しています。てらじさんはウェブページを広く表示したいときにはタブバーを非表示にするそうです。この時のショートカットキーに「F1」キーを割り当てています。標準では「ヘルプ」に割り当てられていますが、どうしても「F1」キーを押すことで、ヘルプが開いてしまうのが嫌だったそうです。こんな微細なカスタマイズできるのもVivaldiの魅力です。
「キーカスタマイズがめちゃめちゃ細かくできるところがいいですね。ここまでできるブラウザはあまりないと思います」と、てらじさん。
仕事や書き物をするのではなく、のんびりとウェブ閲覧をする際は「単一キーのショートカットを有効にする」をオンにします。Ctrlキーを押さなくても、ひとつのキーを押すだけで任意の動作を実行できるからです。仕事で使っている「Gmail」とショートカットキーが被ってしまうので、普段はオフにしていますが、仕事をしないと決めた時間は「単一キーのショートカットを有効」にして使っているそうです。
キーボードの設定から、「単一キーのショートカット」(ワンキー)を有効にするとタブの切り替えがこのようになります。数字の1や2でタブを切り替えられるのです。
検索エンジンは「Google」や「Bing」などの定番ではなく、プライバシー保護が特徴の検索エンジン「DuckDuckGo」とメディア・企業・自治体などのホワイトリストを検索対象とする検索エンジン「chizen.jp」を設定しています。Twitter検索は「ニックネーム」機能を割り当て、手軽に利用できるように工夫していました。
画像のEXIF情報を簡単に表示できる機能も便利に使っているそうです。2017年のバージョン1.12から搭載された機能で、画像の詳細情報にEXIFデータを表示できるようになりました。
「いいなーと感じた写真を見て「どんなカメラ(スマホ)で撮ったんだろう?」「設定は?」と思った時に右クリックしますね」(てらじさん)
もちろん、基本機能とも言える、広告ブロックやマウスジェスチャ機能も活用しています。
「Vivaldiは、はじめから広告ブロックやマウスジェスチャなどが搭載されています。これらは、他のブラウザでもアドオンを使えばできるのですが、そもそもそういうことが可能だということを知らない人もたくさんいます。だからこそ、最初から搭載している意味は大きいと思います」(てらじさん)
最後に、今後のVivaldiについて伺いました。
「初心者のためにチュートリアルをさらに充実させたほうがいいと思います。個人的には、ウェブの多様性を守るためにも独自のレンダリングエンジンを開発して欲しいです。逆にトリッキーではあるけど、マルチエンジンで選べるようにするのもありかもしれません。後は「「右クリック禁止」を禁止」をデフォルトで持ってほしいなと(笑)。みんなが同じブラウザを使っている状況は、面白くないと思います。今後のVivaldiの進化に期待します」とてらじさんは締めてくれました。