ノルウェーの消費者委員会は、先日、サーベイランス(監視)広告の禁止を求める報告書を公開しました。これに関連し、7 月 7 日に、EU および米国の規制当局に以下の書簡を連名で送り、立法議会およびプライバシー保護に関連する審議において、この問題を取り上げるように要請しました。
サーベイランス広告を禁止する時です
今日、サーベイランス広告はインターネットで一般化しており、消費者と企業の双方にとって多くの問題点を引き起こしています。
6 月 23 日、広範囲に渡る連合(消費者の権利を守る組織、人権擁護グループ、NGO、学者、研究者、プライバシー問題の専門家など、あらゆる関係者)は、規制当局にサーベイランス広告に関連するプライバシー侵害行為を禁止するように呼びかけました。
EU ではデジタルサービス法 (DSA) の一環として、サーベイランス広告の禁止を検討するように規制当局に要請しています。また米国では、包括的な個人情報保護法を制定するように国会議員に要請しています。我々企業のグループは、この構想に対する支持を表明すべく同書面を送ります。各企業の規模は様々ですが、どの企業も、個人情報を不当に利用せずに収益を上げることは可能であると考え、その経営理念を実現しています。
サーベイランス広告は明白なプライバシー侵害問題を引き起こしているだけでなく、IT 業界の状況にも弊害をもたらしています。
サーベイランス広告に基づくビジネスモデルでは、数社がウェブサイトやサービスを通してユーザーの情報を収集することで優位な立場を獲得し、また、支配的なプラットフォーム企業は自身のサービスが優先されるようにして、その立場を利用しているのです。
このような行為により、競合する企業は不当に市場から締め出され、コンテンツクリエイターの収益が奪われています。支配的な企業は、その排他的な姿勢と影響力によって自らの立場を強固にする一方、広告主とパブリッシャーは、複雑なサプライチェーンと不公平なテクノロジーにより収益を失っています。
消費者にとってはデジタル分野での企業の善悪を見極めることは困難です。そのため、合法的なビジネスモデルを実行している多くの中小企業は、非良心的な企業の行為により直接的に影響を受けています。
このような実情は消費者と企業に害を及ぼし、また、民主主義の土台をも壊してしまう可能性があります。
インターネット上のコンテンツクリエイターとパブリッシャーにとって、広告は重要な収益源であることは認識しています。しかし、巨大な営利目的の監視システムを利用して、「適切な広告を適切なユーザーに表示」しようとする行為を正当化することはできません。
広告テクノロジーの形は他にもあり、消費者行動の監視に依存する必要はありません。また、収益に大きな影響を与えることなく別の戦略を実行することも可能です。むしろ、プライバシーを侵害する行為なくしてもビジネスが発展することを立証できるでしょう。
サーベイランス広告に対する立場の表明と、その禁止をここに要請します。
敬具
- Vivaldi Technologies, Jon von Tetzchner, CEO & Tatsuki Tomita, COO
- Fastmail Pty Ltd, Bron Gondwana, CEO
- Conva Ventures Inc., dba. Fathom Analytics, Jack Ellis & Paul Jarvis, Directors
- Proton Technologies AG, Dr. Andy Yen, CEO
- Tutao GmbH, dba. Tutanota, Matthias Pfau, Co-Founder and CEO
- DuckDuckGo, Inc., Gabriel Weinberg, Founder and CEO
- Disconnect Inc., Casey Oppenheim, Co-founder and CEO
- Mojeek Limited, Colin Hayhurst, CEO
- Ecosia GmbH, Christian Kroll, CEO
- Startpage & StartMail, Robert E.G. Beens, Co-Founder and CEO
- Nextcloud GmbH, Frank Karlitschek, Founder and CEO
- Kobler, Erik Bugge, CEO
- Strossle International, Håkon Tillier, CEO & Rickard Lawson, CMO
- Mailfence, Patrick De Schutter, Co-Founder and Managing Director