サーベイランス(監視)広告を禁止すべき時がきました

ノルウェーの消費者委員会はサーベイランス(監視)に基づいた広告の禁止を求める報告書を提出しました。Vivaldi の CEO であるヨン・スティーブンソン・フォン・テッツナーは、この法案を支持しています。そして、インターネットで横行しているターゲット広告、常に監視されている状況からユーザーが解放されるべき、その理由を語ります。

「”最適な広告”が表示されるのであれば、データを収集されても構わない」。ビッグテック企業は、長年にわたりこのように語ってきました。まるで、私たちユーザーを代弁するように、です。同時に、データを収集して利用する権利なくしては、無料で質の高いテクノロジーを提供することができないのだと釈明してきました。残念なことに、多くのユーザーは徐々にその説明に洗脳され、この誤った取り引きを受け入れるようになってしまったのです。

もしビッグテック企業がもっと正直に、「最適な広告」ではなく、「ユーザーを監視するターゲティング広告」という言葉を使っていたら、今あるような成功を収めていたのでしょうか?

今ではユーザーも、自分たちの情報がどれほど収集されているのかに気づき始めています。ユーザーは情報の大規模な漏洩を認識するだけでなく、サーベイランス広告とデータ収集がどの程度行われているかについても注目するべきです。なぜならば、このようなビッグテック企業の行為は広範囲にまん延し、そのダメージは個人だけでなく、社会そのものにも影響を与えているからです。

端的に言うと、サーベイランス広告に基づくビッグテック企業の有害なビジネスモデルは、民主主義を蝕んでいるのです。このような行為を彼ら自身が正す機会は充分あったはずです。しかし今こそ、規制されるべきではないでしょうか。

ノルウェーの消費者委員会が立ち上がる

幸いなことに、政府機関と組織は、サーベイランス広告と、それに関連するプライバシー侵害問題について前向きに取り組み始めました。

例を挙げると、4 月に、EU(欧州連合)のプライバシー監視機関は公共の場における顔認識技術の禁止を求めました。これは、「プライバシーは死んだ」と今まで考えられていた状況が好転し始めた、歓迎すべき兆候と言えます。

ノルウェーの消費者委員会は先日、この問題に介入し、総合論文を発表しました。論文では、サーベイランス広告が常識のレベルを超えていることが明白に述べられています。この禁止に向けた動きは世界中の 54 の組織に支持されています。この詳細な論文を読むことで問題の規模を把握し、どのように取り組み始めるべきかを考えてみてください。

この論文では、ビッグテック企業が自らの監視システムと監視主導の行為を主張し、また擁護しながらビジネスを展開しているという多くの意見を取り上げています。

また、プライバシーやデータ保護の侵害、不透明なビジネスモデル、巧妙な操作や差別、詐欺や犯罪行為などを含む深刻なセキュリティリスクなど、サーベイランス広告により生じている様々な課題が述べられています。

また、今日の支配的なオンライン広告の戦略が、消費者や民主主義社会、メディア、利益を受けるはずの広告主に対しても脅威になり得ることが指摘されています。

提起された問題は重大かつ深刻で、これらの有害な行為の禁止を求めるには充分に妥当だと言えます。

消費者委員会の立場を支持するべく、論文では、サーベイランス広告に対する消費者の見解に関するビッグテック企業の多くの主張を検証し、以下のような結果を得ています。

消費者の大多数が、広告目的での追跡、およびプロファイリングされることを望んでいないことが明らかになりつつあります。ノルウェーの消費者委員会に代わって YouGov(グローバルなデータ収集と分析の専門会社)により行われた調査では、オンラインで個人的な情報が収集されても構わないと思っている人は 10 人中 1 人、また、個人情報に基づく広告の提供を許容できるとした人は、5 人中 1 人のみでした。この結果は、大西洋の両側の諸国で行われた調査の結果と共通しています。また消費者は、最適な広告を表示してもらう代わりに商業的に監視されても構わないとは見なしていないことがわかります。

この論文が発行されたことで、ノルウェーの政治家は公表を前提として意見を求められており、今のところ、全員がサーベイランス広告の禁止に賛成しています。他国の政治家も同じように行動を起こすことを期待しています。そして、我々が政治家への支持を表明することで、正しいことが行われるように彼らが行動してくれるだろうと信じています。

インターネットの現状を修正し、データ漏洩やプライバシー侵害、情報の歪曲、完全なる情報搾取からインターネットが解放されることを目指し、良い方向に変えていけるように共に進んでいきたいと思います。

Vivaldi は長い間、監視行為に対して異議を唱えてきました

我々は何年もの間、サーベイランス広告は禁止されるべきだと主張してきました。そして、価値観やサービス、製品を通して、ビッグテック企業の非道徳的で不快な行為に対して反旗を翻してきました。ここで述べていることは、決して思いつきではありません。

これは非常に重要な問題であり、敬遠すべきことではありません。政治だけでなく、その他の分野でも注目されてきていること、私以外の人が公に意見を発信していることを嬉しく思っています。

私は人生の大部分をインターネットに捧げてきました。私のような立場にいる多くの人と同じく、インターネットが向かっている方向を案じています。長い間、インターネットは表現の自由と同義語であり、コミュニケーションの改善や民主主義を世界で育むための一助となってきました。しかし不幸なことに、その状況は悪い方向に劇的に変わってしまったのです。

数年前の Wired とのインタビューで、ウェブが誤った形で利用されていることに対する懸念について語り、パーソナライズ広告の禁止を訴えました。しかし、その状況は今も変わることなく、ユーザーは常に追跡されており、侵襲的なテクノロジーにより、我々の行動は逐一監視されているのです。

企業が顧客に関する膨大な量のデータを収集する理由はありません。企業は顧客のデータを安全に保持することができたはずで、また、そうする義務がありました。そして、サービスを提供する以外の目的でのデータの使用は避けるべきでした。ユーザーのプロファイルを広告の目的で使用すべきでないのは、言うまでもありません。このようなプロファイルは存在すべきではないのです。

これは明らかに誤った行為です。

危機にさらされているもの:ビッグテック企業が巨万の富を得る一方、社会はその代償を支払っている現状

長い期間をかけて、ビッグテック企業はユーザーデータの宝の山にアクセスすることで、とてつもないパワーを蓄積してきました。Google や Facebook などの組織は、自分たちのサービスを収益化し、投資家の要求に応じるために新しい方法を模索し、思いとどまることはありませんでした。データは簡単に手に入れることができるのだから、収集しない理由はないと。ユーザーデータを使用すれば、例えば、ターゲティング広告を提供して、さらに収益を上げることができる ー このような戦略、そしてデータ集積とその利用は徐々に拡大し、遂には、これらの企業は、実質的にインターネットを利用するすべての人のあらゆる行動を収集するようになったのです。さらには、データの収集だけでなく、データや技術を第三者に有料で提供していることも大きな問題となっています。

企業は顧客に関する情報に常にアクセスすることができます。大工は訪れた家やその家族に関する多くの情報を得ることができます。電話会社は顧客の会話を聴くことができ、メールプロバイダーは利用者のメールを読むことができます。しかし、実際にそのようなことを行うことはありません。なぜならば、それは誤った行為だからです。

ビッグテック企業にはそのような良心の呵責がありません。彼らにとっては、情報がそこにあって利用でき、規制や道徳が障害になることに蓋をしているのです。そして、規制や道徳を無視することで、巨大な利益をこれまでに得てきました。同時に競争相手を押しのけ、業界全体を変えてしまったのです。

「仕方がない」と思うのはもうやめ!

ビッグテック企業は、ユーザーは無料サービスを受けるために追跡を許可する必要があると納得させようとしてきました。しかし、インターネットはこのような監視システムが存在しなかった時でも問題無くサービスを提供できていたのです。

これらの企業はデータを収集できなければサービスがもっと高額になると主張していますが、これはナンセンスです。利益は減るかもしれませんが、ほとんどの企業は今まで通りの広告でも充分な利益を維持できるはずです。

加えて、データと引き換えにサービスが「無料」で提供されるのであれば、他の企業が競合するのは、より難しくなります。消費者がプロダクトとみなされる限り、道徳的な企業は不利な立場に置かれ、そして、消費者の選択も少なくなります。言い換えれば、消費者が自分たちのデータで支払わされるのであれば、消費者と社会にとっての真の代償は、非常に高くつくということです。

トラッキングとサーベイランスに頼る多くの企業は、これらが無ければ業界は成り立たないと主張するでしょう。しかし、トラッキングが行われる以前にもオンライン広告は存在していた実情をふまえれば、実際には成り立つはずなのです。

インターネットを救う

かすかな望みはあるのでしょうか?

遂に、この問題がまともに取り上げられるようになりました。今後、状況が変わることを期待します。多くの人がビッグテック企業を止められないと信じこんでいますが、何事も不可能なことはありません。非常に有害だとみなされたものが、公共の利益のために規制された例は過去にいくつもあります。論文で引用されている例はアスベストです。率直に言って、その比較は予想以上に的確かもしれません。

アスベストが初めて登場した時、家や学校、オフィスなどを火事から守る素晴らしい資材だとして歓迎されました。しかし 10 年後には、アスベストには健康被害があるということが判明したのです。約 10 年間、必要とみなされ、需要があり、そして、使用を止めることができないと思われていたものが最終的に禁止され、代わりに有害性が低い資材が使われるようになりました。そして、長期間の影響により苦しむことになったであろう人たちの生活が好転しました。

同様に、サーベイランス広告もインターネットの健全性や我々の社会を蝕んでいます。

サーベイランス広告が禁止されれば、利益のためにトラッキングを行うビジネス戦略は変更を余儀なくされ、新たに見直されるようになるでしょう。

結果として、消費者と基本的権利を尊重するテクノロジーの成長が活性化され、長期的に見て、消費者のデジタルサービスに対する信頼の回復につながるでしょう。

誤った現状を変える

私たちのデータが、ものすごいスピードで収集され、使用されている現状にはゾッとします。

ユーザーのプライバシーに対する意識がますます高まっていることを認識するべきです。ビッグテック企業はデータの流れが尽きることのないように、より巧妙になっています。例えば、革新的な「プライバシーテクノロジー」と宣伝されている Google の FLoC のような戦略は、利益のためにユーザーデータを収集するようにデザインされているにもかかわらず、ブラウザの設定ができないように回避されています。

このような現実に注目し、ユーザーの利益のために代弁する代表者が必要です。現状としては、ユーザーや経済、社会にとって不利な形勢にあります。しかし、長期間に渡るプライバシーの確保、インターネットでの競争の回復、非道徳的な行為により生じたダメージの回復に向けて、根本的な改革が必要です。

今こそ、ユーザーデータの不必要な収集や、ユーザーのプロファイルをターゲットとする行為を禁止し、サーベイランス広告に終わりを告げる時です。

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