現代社会において、インターネットは欠かせない存在であり、グローバルにコミュニケーションを取るための必要不可欠な手段です。しかし、それは多数の企業が私たちのデータをネットワーク上で移動させてくれることにより成り立っています。これは同時に、インターネットの利用が増えれば増えるほど、大きなウェブ企業、インターネットサービスプロバイダー、データブローカー、広告会社、ハッカー、そしてその他の多くによってデータを収集されてしまうことも意味します。一部は悪意を持って私たちの情報を利用したり、彼らのサービスのみを利用するように制限したりするために利用したりすることもあります。彼らの目的がどうであれ、情報共有の選択の決定権は私たちにはなく、サービス提供側にある場合が多いのが現実です。
Vivaldi では、みなさんのプライバシーを最優先に考えています。長い間、プライバシーを保護し、各データを自身でコントロールできるように、私たちは開発を続けてきました。ゼロトラッキングポリシーを持ち、トラッカーや広告をブロックするなど、ユーザーのみなさんがプライバシーを保護できるよう、様々なアプローチを試みています。
そして今回、私たちは INVISV 社との協力で実験的な機能「プライバシーガード」を新しく導入しました。プライバシーガードは、VPN サービスでは実現できない、ブラウジングのためのマルチパーティプライバシーを提供します。この機能を利用すると、Vivaldi、INVISV、またはネットワーク通信における他のどの企業も、あなたのブラウジングを見ることができません。
プライバシーガードとは?
プライバシーガードはウェブトラフィックを暗号化し、ウェブサイトやサービスが接続している IP アドレスを隠します。これは、VPN(仮想プライベートネットワーク)と同様の機能を果たすことを意味します。違いは、そのアーキテクチャにあります。他の多くのブラウザは VPN を搭載し始めていますが、VPN はあなたのブラウジングに関するデータをプロバイダー側の 1 か所に集約するため、プライバシー機能として使用する場合には理想的な技術ではありません。
その代わり、プライバシーガードは重要な新しい技術である 「マルチパーティリレー」を使用します。これは、ユーザーのブラウジングに関するデータを複数のホップと複数の企業に分割し、いずれにおいても全体像を把握しないようにする技術です。
マルチパーティリレーとは?
マルチパーティリレー(以下 MPR)は、その名前が示すように、そのアーキテクチャに追加のレイヤーを含みます。その目的は、ユーザーのアイデンティティ(IP アドレスとユーザー情報)をウェブから切り離すことにあります。
この切り離しはどのように機能するのかを説明します。?まず、ユーザーは企業が運営する第1のサーバーに接続し、そのサーバーがユーザーを認証後、トラフィックを別の企業が運営する第2のサーバーに転送します。そして、この 第2のサーバーが、ユーザーを目的のウェブサイトに接続します。最初のサーバーではウェブサイトでの通信が発生しないため、インターネット上においてユーザーが何にアクセスしようとしているかを知りません。また、第2のサーバーは直接ユーザーと通信を行わないため、ユーザーが誰であるかを知りません。この 2 点を切り離すことにより、一つのサーバーにユーザー情報とウェブ利用の両方を把握することがなくなる、という仕組みになっています。これが VPN と MPR の根本的な違いです。VPN では、ユーザーとその使用に関する情報が VPN プロバイダー自体によって保持されます。
MPR の詳細は INVISIV 社によるこちらをご覧ください。(英文記事になります。)
プライバシーガードの使用方法
プライバシーガードを使用するには、まず Vivaldi.net アカウントを用意ください(お持ちでない場合はこちらから登録いただけます)。次に、アドレスバーの右側にあるツールバーのアイコンより、Vivaldi.net アカウントにログインし、スイッチをクリックすることで有効にすることが可能です。。現在プライバシーガードは、Vivaldi のスナップショットのバージョン 3319.12 でのみ利用可能な試験的な機能となっています。
MPR は誰が管理しているの?そして INVISV とは?
先述の通り、MPR には 2 つの独立したネットワークホップが関与しています。1 つめのホップサーバーは INVISIV 社が運営しており、2 つめのホップサーバーは Fastly 社が運営しています。
INVISIV は、ネットワークセキュリティの専門家であるハワイ大学の Paul Schmitt と南カリフォルニア大学の Barath Raghavan によって設立されました。彼らの顧問には、Bruce Schneier や Jon Callas などが含まれます。彼らは、プリンストン大学や南カリフォルニア大学に在籍中に INVISIV テクノロジーを開発しました。私たちは彼らと以前からの知り合いであり、彼らの MPR の設計とパフォーマンスにとても感銘を受けました。そして、このテクノロジーを Vivaldi で提供し、ユーザーのみなさんに提供してみてはどうか、と次第に考えるようになったのです。
次のステップは?
今回の実装に際し私たちは、この機能が Vivaldi を使ってくれているみなさんにとって価値があるものなのかどうかを知りたいと考えています。もし、多くの方に利用していただけるようであれば、機能を十分に磨き上げた後、将来的には安定版においてプレミアム機能(有料機能)として提供する方向も視野に入れています。この機能をテストしていただける方は、5 日間後にメニューに表示されるアンケートにも回答いただけると嬉しいです。
最後に、いつも Vivaldi をご利用いただきありがとうございます。プライバシーガード、ぜひお試しください。そして、ご意見をお聞かせください。
既知の問題
- 現時点ではプライバシーガード機能は Linux ARM で機能しない。
- その他の既知の問題はこちらを参照してください。 previous snapshot
ダウンロード (3319.12)
- Windows
- macOS
- Linux
更新履歴
- [新規][リレープロキシ] プライバシーガードの実験機能を有効に:現在から 2024-05-11 まで利用可能
- [クラッシュ] 企業ドメインのラップトップにおける、最近追加された DLL の署名を修正 (VB-105187)
- [ダイレクトマッチ] リモートファイルの署名をチェック (VB-104678)
- [フィード] Github と Reddit の URL を既知のフィード URL にマップする(自動検出の強化)(VB-105357)
- [言語] 正しいクルド語ロケール言語コード (VB-81478)
- [macOS] 閉じた状態で外部リンクを開くと、通常のウィンドウの後ろに新しいウィンドウが開く (VB-39284)
- [メール] フォルダを切り替えてもソートされない (VB-105379)
- [タブ] ウェブパネルが原因で複数タブの選択に失敗することがある (VB-103853)
- [WebCompat] クリック可能な要素を無効にする (VB-104434)
訳 – Akira
Team Vivaldi
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